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以前は市場環境の全く異なる海外の不動産投資によって、節税を実現する方がたくさんいました。なぜなら、投資によって赤字が発生した場合、日本での所得と損益通算が可能だったからです。
しかし、税制改正によって2021年からはその節税が認められなくなりました。
海外不動産を利用した以前の節税方法
以前に行われていた方法は、主に米国といった海外の中古不動産を購入して多額の減価償却費を計上し、損益通算するというものです。
法定耐用年数を超えた建物は「簡便法」によって減価償却期間を計算します。
計算式は「耐用年数=法定耐用年数×0.2」なので、例えば、築22年を超えた中古の木造建物だと、22×0.2=4年(※)で耐用年数と減価償却期間は4年となります。※算出された耐用年数が2年に満たない場合の耐用年数は2年とされ、2年以上の場合の1年未満の端数は切り捨てられます。
もし木造建物を中古で4,000万円で購入した場合は毎年4,000万円÷4=1,000万円ずつが減価償却費として計上されます。仮に家賃収入が400万円だとすると、600万円の赤字となるので、給与所得と損益通算して所得税を減らせたわけです。
しかし、現在では税制改正により損益通算が認められなくなったので、400万円+給与所得全てに所得税が課税されます。
海外不動産への投資者が多かった背景
日本では耐用年数を超えた建物の価値は非常に低くなります。しかし、米国では築22年以上の古い物件でも需要が高く、資産価値があまり下がりません。加えて住宅価格に占める建物の割合が多く(土地が安いため)、減価償却費も計上しやすいのです。
耐用年数を超えて簡便法による高額の減価償却費が容易、築22年以上の木造でも売れる市場構造の違いなどがあり、以前は節税目的で海外での不動産投資をする方は多かったのです。
しかし、数年間で国内の富裕層がこぞって節税目的の投資を行った結果、ついに国税庁が動き、税制改正によってそれらの節税を封じ込めたわけです。
税制改正後の対策
節税が封じ込められた今後は、家賃収入や売却益を目的とした従来のやり方で利益を得て行くことになるでしょう。先述した通り、米国不動産は価値が下がりにくいため、償却後にも購入時に近い価格で売却できる可能性が高いといえます。
また、税制改正では、令和3年度から減価償却費を経費にできなかった海外不動産を売却した場合、譲渡益から減価償却費相当額を控除できることにもなっています。
つまり、譲渡益が少なくなるので、その分譲渡所得税の負担も軽減されます。このような、メリットを活用していくのも有効な策です。
まとめ
海外には日本とは異なる不動産の市場環境があり、そのギャップを活用した節税が行われてきましたが、現在では同じ手法での節税はできなくなりました。
今後、海外不動産を利用して利益を出すには、継続的な家賃収入や値上がり益を狙う、従来型の不動産投資に沿った形で投資をしていくのがよいかも知れません。
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