個人事業税とは?課税対象となる貸付規模とは?

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個人で不動産経営を行っている場合、所得額や規模によって「個人事業税」が課税されるようになります。

個人事業税は所得税と違って申告は必要ありませんが、納付は8月、11月の年2回に渡って納めます。そのため、税額がいくらかかるか、課税対象になる基準を知っておくべきです。

本コラムでは、「個人事業税とは何か」「課税対象となる貸付規模はどこからか」等について解説いたします。

 

個人事業税とは

個人事業税とは、個人が営む事業に対して課される税金で、「所得額が一定水準を超える」かつ「対象業種である事業を営んでいる場合」に課税されます。

課税対象となる業種は以下の通りです。

    ①物品販売業、不動産貸付業、料理店業、不動産売買業、保険業、製造業、運送業、駐車場業、飲食店業、物品貸付業、旅館業など37業種。

    ②畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種。

    ③医業、あん摩・マッサージ・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、理容業、歯科衛生士業、歯科医業、獣医業、司法書士業、不動産鑑定士業、歯科技工士業、薬剤師業、税理士業、クリーニング業、弁護士業、公認会計士業、コンサルタント業など31業種。

 

課税の仕組み

不動産経営で考えると、課税のベースとなるのは不動産所得です。ただし、所得税とは異なり「青色申告特別控除」は使えません。

一方、「事業主控除」として290万円が引かれるので、青色申告特別控除前の不動産所得が290万円以下であれば基本的には課税されないこととなります。

税率はグループごとに区分されたものとなります。不動産貸付業の場合は「5%」です。

計算式で表すと以下の通りです。

個人事業税(不動産)=( 不動産所得 + 青色申告特別控除額 - 事業主控除)× 5%

 
上記式は青色申告をした場合のものです。事業主控除290万円の他に、その年に控除し切れなかった金額で翌年以降に繰り越せる繰越控除(青色申告者で赤字となった場合や、白色申告者で震災などにより損失があった場合など)がある場合はそれらも差し引くことができます。

なので、もし前年に赤字が100万円で、今年の所得金額が350万円だった場合。繰越控除分を差し引くと、事業所得は250万円となるので個人事業税の課税対象外となります。

 

個人事業税の納付は年二回行う

所得税の確定申告を行うと、税務署が地方自治体に申告をし、そこで算出された個人事業税の納付書が送られてきます。

納付書に従って、8月、11月の年2回に渡って税金を納めます。(少額の場合は8月に全額納付。)

 

不動産貸付業の認定基準

前述したように、所得額が一定基準を超えるだけでは個人事業税は課税されません。不動産経営を行っている場合は、扱っている物件が「不動産貸付業もしくは駐車場業」に該当する場合に課税されます。

その認定基準としてベースとなるものはありますが、実際には各都道府県がそれぞれの基準を設定しています。

例えば、東京都の場合では以下の通りです。

    建物
    ・住宅で一戸建なら棟数が10以上
    ・住宅で一戸建以外は室数が10以上
    ・住宅以外で独立家屋なら棟数が5以上
    ・貸店舗など独立家屋以外なら室数が10以上

    土地
    ・住宅用地の貸付なら契約件数が10以上又は貸付総面積が2,000㎡以上
    ・住宅用地以外の貸付なら契約件数が10以上

    駐車場
    ・建築物・機械式のものなら駐車可能台数を問わない
    ・青空・ピロティー式なら駐車可能台数10台以上

なお、この基準は所得税上65万円の青色申告特別控除が受けられる事業的規模要件とは少し異なります。

そのため、基準に当てはまっても対象不動産の賃貸料収入や管理状況によっては、対象から外れる場合もありますし、その逆パターンもあるのです。

 

まとめ

所得税や消費税だけでなく、個人事業税も個人で不動産経営を行っている場合は支払う可能性のある税金です。

申告は不要のため焦る必要はありませんが、納付を怠らないためにもしっかり抑えておきましょう。

 


 

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この記事を書いた人

大学卒業後、不動産会社で4年ほど実務を経験。
その後、会計事務所に勤務しながら税理士資格を取得し、不動産業界での経験を活かして不動産会社や不動産投資家の税務サポートに従事。