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前回のコラムでは、賃貸不動産経営における「修繕費」と「資本的支出」の違いについて解説いたしました。
生じる費用が修繕費か資本的支出かの判断は、「原状回復のみか、当初より良くなるか」なので、新しい設備や備品を取り付けたり交換したりする場合は、基本的に「資本的支出」として処理します。
ただし、特例制度を使えば、費用を3年間で均等に割って経費化したり、支出した年に1度で経費計上も可能となります。
少額減価償却資産とは
まず減価償却資産とは、賃貸経営(事業)に用いられるアパートやマンションなどの建物、空調設備などで、時間経過などで資産価値が減少するものを言います。
減価償却資産の取得金額は、減価償却費としてその使用する期間にわたって費用となり、支出した年度に費用の全額を計上することはできません。
ただし、減価償却資産の中には「少額減価償却資産」というものがあり、この資産に当てはまるものは簡単な計算方法で費用計上することが可能です。
少額減価償却資産は金額や要件によって種類が分かれ、支出時に全額費用にできる場合や3年間で均等償却にできる場合に分かれます。
少額減価償却資産の種類
(1)少額の減価償却資産(10万円未満)
取得価額が10万円未満の減価償却資産であれば、全額を修繕費として経費計上することができます。
(2)一括償却資産(20万円未満)
取得価額が10万円以上20万円未満であれば「一括償却資産」となります。
取得日や耐用年数に関係なく、使用開始年から3年間で償却が可能です。
(3)中小企業者等の少額減価償却資産(30万円未満)
取得価額が30万円未満で中小企業者や個人事業主で青色申告者だった場合、「少額減価償却資産」として経費計上することができます。
ただし、年間に計上できる費用は300万円までです。
活用事例
アパートに設置してあるエアコンの取替え工事を行う場合、1台の工事金額が6万円なら全額を修繕費として経費計上することができます。
もし、1台の工事金額が15万円だった場合は、青色申告者であれば「少額減価償却資産」として全額を経費計上できます。
青色申告者に該当しない場合は、「一括償却資産」として、3年に分割して(年間5万円)計上することになります。
まとめ
修繕と言っても、工事内容や工事金額、その他の条件によっては税務上の取扱いが変わり、お得に処理できる可能性があります。
今回ご紹介した少額減価償却資産をフルに活用するなら、修繕の際に、工事業者にできるだけ工事内容を細かく分けて明細書を作成してもらい、1組あたりの工事金額を抑えることが重要となります。
多くの節税方法を活用し、安定した賃貸経営に役立てていきましょう。
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